「どうしてリハビリ入れ歯が必要なの?」リハビリデンチャーの意義と重要性

入れ歯難民と呼ばれる方の最後の砦「KGKデンチャー」には、「リハビリ入れ歯」(下記画像)なるものが存在します。

「え?なに?リハビリ入れ歯(※1)って?ということは、本番の入れ歯(※2)は別で作るの?そもそもリハビリ入れ歯が、どうして必要なの?」

そう思われる患者さんが少なからずいらっしゃることは、存じ上げています。

※1リハビリ入れ歯とは?

口の筋肉の形を変える/噛む力を回復/ずれた噛み合わせを治す入れ歯

※2ファイナル入れ歯とは?

口の形が適正になった時点で作る、リンゴやおせんべいやたくあんの食べられる入れ歯

リハビリ入れ歯の説明より、実際に治療された患者さんに聞いたほうが早い&説得力がある・・・そこで、実際にリハビリ入れ歯で治療した患者さんに突撃インタビューをしました!

ファイナル入れ歯用の型取りを2時間掛けてした後、お疲れのところありがとうございました!

1回目のインタビュー(リハビリ入れ歯の型取り時)はコチラ(2024年12月)

リハビリ入れ歯治療が終わった患者さん 突撃インタビュー 目次

リハビリ入れ歯を入れたら、両方で噛めるようになった
レタスが食べやすくなりました
「こんなに変わるんだったら、やっていただいたほうが」
食べたいもの、見つけました
先生コメント
密着!どうやってファイナル入れ歯の型取りするの?実況中継
リハビリ入れ歯が優れている理由6つ
取材後記

「リハビリ入れ歯」前(左)と後(右)に取った型を拝見したのですが、形が全然違っていてビックリしました。

口の中でキッチリはまっていたものが、だんだんゆるくなっていくんです。

(ゆるくなったことが)分かります??

分かります。

最近は、ちょっと落ちる感じがあるんで。

頬の筋肉がついて、締まる感じが自分でも分かる?

徐々にゆるくなるので「あ、筋肉締まっているのかな」と自分で感じます。

今日ファイナル入れ歯の型取りの時に、(型取りしたものが)吸着して外すのが大変なくらいに見えました。一旦リハビリ入れ歯を戻した時、ゆるいと感じました?

感じます、感じます。

「リハビリ入れ歯」の大切さは、なかなか分かりづらいと思います。
※下記の一部が透明なものが「リハビリ入れ歯」

ああ、難しいですね。

以前は、割と片側の噛みやすい方でしか噛んでなかったのですが、リハビリ入れ歯を入れたら両方で噛めるようになったので、なるべく両方で噛むようにはしています。

あと、教えてもらった体操を毎日していました。

→詳しくはコチラ

上の歯に下唇を当てて、口角を上げる体操、毎日やってます。

素晴らしい!やはり、リハビリ入れ歯がないとダメだなと思いました??

やった方が、効果があります。

噛みやすくなった?!

なりました。

入れ歯を変えて、食べられるようになったものはありますか?

硬いもの、噛みにくいもの、繊維質のもの・・・レタスもそうなんですけど、割と切れないんですよね。

引っ張ったりしても切れなかったけど、そういったものが切れやすくなりました。

ともかく食べやすいです。

食事がストレスじゃなくなった?

なくなってきました。

でも(今はリハビリ入れ歯の治療の終盤で)ゆるくなっているので、噛むとずれる感じがあります。

今日型取りをしたファイナル入れ歯は、ぴったりでしたよね。先ほどの技工士さんが技工所で入れ歯の設計・排列(歯を並べること)をして、おおよそ1か月半後にファイナル入れ歯が出来上がるそうです。

そうなったら食べたいものはあります?

※イメージ画像です。

食べたいものが見つかって何よりです!ちなみに、リハビリ入れ歯を使っていた期間はどれくらいでした?

去年の12月11日に入れて、今日が5月21日だから5か月くらいですかね。

ゆるくなったと感じてきたのは、いつくらいですか?

急に来るんですね!

私はそういう感じがしました。

そう感じるのは上ですか下ですか?

上です。

下手をすると口を「あーっ」と開けた時に入れ歯が落ちてしまう。

(リハビリ入れ歯を入れた)最初の頃は全然そんなことなかったんですけれどね。

痛みは?

下を何度も都度調整していただきました。

最初「リハビリ入れ歯をしますか?」と聞かれたときに、金額も掛かるじゃないですか。
うーんと思ったけど、アゴがずれてるようなら(リハビリ入れ歯を)していただいたほうがいい。

噛み合わせがずれていると、身体のいろんなところもずれてくるって言うじゃないですか?

金額的に大きいので、考える人が多いと思います。

一度やっていただいたら、やるのが当たり前みたいになります。

3月の後半に来てもらった時に「入れ歯が落ちるようになった」と言っていました。

(インタビューは5/21、リハビリ入れ歯を入れたのは12月11日)

そして、顎位(がくい:アゴの位置)が安定します。

前のデンチャー(入れ歯)では、噛んだ後に入れ歯がずれていたと言っていました。

おせんべいを食べたいと言っていましたね、欲が出てきました、すごい変化です。

希望が出てきました。

旅行に行ったときに食べたいものが食べられれば、楽しいですからね。

旅行に行っても食べたいものが食べられないという人、結構いますもんね。

近藤義歯研究所 歯科技工士 小澤さん

今回、そして前回も立ち会った近藤義歯研究所の歯科技工士、小澤さんにぶっちゃけ話を聞いてみました!

患者さんは「3か月したら急激に入れ歯がゆるくなった」とお話ししていましたが、どうですか?普通ですか?

筋トレみたいな感じなのですぐには効果が出ないんですけれど、早い方は2か月くらいですが。

患者さんに説明するときは「効果が出るのに2~3か月掛かります」とお話ししています。

大きく口を開けると落ちると言っていました。

大きく開けると入れ歯に筋肉が当たるので、落ちます。

そうするとリベース(入れ歯にレジンを足して修正する:下記は仮の材料での修正段階)するしかない?

そうですね。

でも(入れ歯の)厚みが出てきてしまうので、満足度は下がります。
患者さんによっては顎位(がくい:アゴの位置)も変わるので、リベースにプラス人工歯を入れ替えることもあります。

1~2か月目は変化があまりなく、だまされたかなと思ったとお話ししていました。(笑)
3か月くらい待ってねということなんですね。

患者さんも食べたいものが出てきたとのことで、気持ちの変化も嬉しいですね。

不安なことや分からないこと、要望もどんどん先生や私たち技工士にお話しください。

→小澤さんの普段の仕事っぷりと心意気はコチラ!

「実際にリハビリ入れ歯を入れた人の感想は分かったけど、どんなプロセス??」
普通の型取りは、「アルジネート印象」という粘土のようなものを入れて口を開けっぱなしで取りますが、KGKデンチャーでの型取り「閉口機能積層印象(へいこうきのうせきそういんしょう)」は、何もかも違います。

患者さんのインタビューの前に行われた2時間も掛かるファイナル入れ歯の型取りについて(型取りは2回目)、実況中継いたします!

ファイナル入れ歯型取り 実況目次

⓪事前打ち合わせ
①上アゴ1回目
②上アゴ2回目(1回目より軟らかい印象材です)
③上アゴ3回目(今度はタラッと垂れるくらいの一番軟らかい印象材です)
④最後にもう1回、3回目の印象で妥協せず、奥だけ取るための4回目の印象(標準は3回です)
(型取りはここまでです)

⑤次は噛み合わせの高さ「咬合口径(こうごうこうけい)」を測ります
⑥ゴシックアーチトレーサーを入れて、左右/前後にあごを動かし、取れたゴシックアーチが下記です
⑦噛み合わせ部分のみ印象を採取
⑧下アゴの印象準備~採取

⓪事前打ち合わせ

今日の手順を打合せ、確認します。

①上アゴ1回目

A概形印象(がいけいいんしょう:アゴのおおよその形を取ったもの)に載せる1回目の印象材(型を取る材料)を付けるための接着剤を塗ります。

B1回目の印象材を盛る(普段目にする印象材と比べると全然柔らかいですが、3回の印象の中では一番硬いものです)

スパチュラでならした鏡のようにピカピカ(本当にパティシエのようです)

C先生に手渡し、患者さんの上アゴセット

上アゴの型取りをしていきますので、前回と同じように「イーウーオー」と動かしていただきます。

(印象材を盛った印象を素早く入れる)

はいそのまま、まっすぐカチカチカチ。

噛みしめていただいて、イーウーイーウーイーウーイーウー。

開けてください。

今度はすぼめます、オーオーオーオー。

はい、お口まっすぐにしていただいて、もう一度カチンと噛みます。

もう一度、イーウーイーウーイーウーイーウー。 そして噛んだままで固まるまでお待ちください、お口は楽にしていただいて大丈夫です。

一口メモ

印象材は、夏の方が固まりやすいそうです。また、手の甲に同じ印象材を置いて、固まり具合をチェックします。
(3分くらい経って、固まったところを見計らって印象を外します)

(印象を外して)はい、お口ゆすいでください~。

一口メモ

洗って、水を拭きとって、形を見て、余分なところを削っていきます。
※この後、すべての工程で同じことが行われます。

②上アゴ2回目(1回目より軟らかい印象材です)

まっすぐ、カチカチ、イーウーイーウーイーウーイーウー。
今度は、オーオー。
気楽にしていただいて今度はカチンと噛んでイーウーイーウーイーウーイーウー。

噛んだままでお待ちください。

一口メモ

前回の印象(左)と比べると今回の印象(右)は淵が締まってきている=筋肉が付いてきている=入れ歯が落ちる

③上アゴ3回目(今度はタラッと垂れるくらいの一番軟らかい印象材です)

カチカチ、今度は、オーオー。
カチカチカチ、イーウー、オーオー、お口楽にしていただいて、イーウーイーウーイーウーイーウー

カチカチカチ、イーウーイーウーイーウーイーウー

※取り出す時、吸着し過ぎて入れ歯が取れません。(汗)

④最後にもう1回、3回目の印象で妥協せず、奥だけ取るための4回目の印象(標準は3回です)

上アゴの奥の端まで行ってなかったので削って、柔らかい印象材を流す

⑤次は噛み合わせの高さ「咬合口径(こうごうこうけい)」を測ります

(まず口の中にゴシックアーチトレーサーを入れ、1回調整)

高さ変わったのは分かります?まだちょっと高い、

(取り出して、ネジをまわし、再度口の中へ)

いかがですか?

これくらいかなという感じですが、さっきよりカチカチしやすい感じはありますか?

更に、咬合口径(こうごうこうけい:噛み合わせの高さ)を「ノギス(右の器具」測ります。

⑥ゴシックアーチトレーサーを入れて、左右/前後にあごを動かし、取れたゴシックアーチが下記です

参考:前回(右)と今回(左)のアゴの動きの違い

【一口メモ】

上アゴの印象にプレートを張って、青いインクをつけて、下アゴに「描記針(びょうきしん)」という針を噛ませます。
その下アゴを前と後ろ、左右に動かします・・・後ろまで行ったら後ろから右、後ろから左・・・とすると「限界運動」つまり、アゴの可動域の見える化が見られるんです。
最初は筋肉が安定しないので、ゆらゆらしていますが、リハビリ後はしっかりとした矢印になります。

リハビリをするとアゴの動きが安定するから、矢印がハッキリと現れます。

これが「ゴシックアーチ描記法」なんですね。

このような変化があるのでリハビリ(入れ歯)をする必要があるんです。
噛める入れ歯を入れると筋肉が回復して、口腔内の筋肉も締まってきます。
口の中の筋肉がちょっとゴツゴツしてきます。
口の中の筋肉が「ダラーン」となっているのが「グリっ」となってきます。

患者様にはよく「腕の筋肉」を例に使ったお話をします。
「ダラーン①」がコチラ。

「グリっ②」となっているのがこちら。

⑦噛み合わせ部分のみ印象を採取

⑧下アゴの印象準備~採取

下アゴの残存歯を活かしたパーシャルデンチャー(部分入れ歯)の手前の歯に、かぶせ物(ジルコニアクラウン)を装着予定。ジルコニアクラウンができるまで、再度仮歯を装着します。

1口の筋肉を整えた状態(左右差、頬の厚み)でファイナル入れ歯が作れる
2左右の平行が取れた入れ歯になっている
3頬の厚みがすでに締まっているので、入れ歯が落ちない
4リベース(入れ歯にレジンと呼ばれるプラスチックを足しての修正)が少なくて済む
5通院回数を重ねることで先生や技工士さんと会う回数が増え、コミュニケーションがスムースになる
6 入れ歯の修理時もスペアの予備の入れ歯として持っていることが出来る

インタビューは、患者さんが話した言葉をなるべくそのまま掲載しています。
私が同じ立場だったら、実際に治療をしている人の感想を一言も漏らさず聞きたいと思ったからです。
終盤になって急に口の筋肉が変わってきたとのこと。
確かに、普通の筋トレも1か月では効果は出ない、それと同じことだと思えば合点がいきました。
最初すごく緊張している様子でしたが、インタビュー時は変化の様子を嬉しそうに話してくださいました。

「人の人生が変わる過程」を一緒に体験させてもらって、こちらもワクワクしてきます。

2時間掛かった型取りの後でお疲れのところインタビューに応えていただき、改めてこの場を借りてお礼申し上げます。

今回担当した技工士さんの、技工所内で入れ歯の設計をする仕事っぷりとインタビュー動画が公開されています。

ご覧いただけると、入れ歯づくりのプロセスの点が線になると思います。

また、静かなる熱い思いも感じていただけると思います。
「患者さんによくなってほしい」という熱い思いの入った入れ歯が、KGKデンチャーです。